BLというよりヤオイ…そんな腐女子の駄目日記。お子様は読まない方がいいです。
アニメもゲームも漫画もごちゃまぜでお送りする気ままカオスです。
ふと、2年越し(確か)の駄文が完成?したのでup。
ごだいとゆき
ごだいとゆき
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ユキは夏が苦手だ。苦手というよりは大嫌いだ。
生まれも、育ちも、名前の響きすら冬…寒さを連想させるユキにとって、日本のじっとりと纏わり付く夏の陽気や、白い肌を赤く焼く太陽を憎んでいた。
「だからさ、アニキ、俺がドロドロに溶けたらどうするんだよ。」
「馬鹿な事を言ってないでさっさと行きなさい。ユキ」
膨れっ面のユキを無視し、久宜はキーボードを叩き続ける。
ユキが、ふて腐れた様子で、届け物を手の中でこね回していると、いつまでも出かける様子のない弟に兄は優しい、しかし人殺しの視線をよこす。
そんな兄の視線…いや、死線に気付いたユキは慌てて事務所件自宅のドアをでていった。
予想道り、外の太陽はギラギラと無駄にやる気に満ちている。
ユキは沸騰しそうな頭をできるだけ日に当てないように、日陰を選んで歩く。
細い、車も人も一緒くたの道でクラクションを鳴らされた。
この糞暑いのにイライラさせるな!音源の車を廃車にしてやるべく脚を振り上げると…ソレは自分が何もせずとも、勝手に崩壊しそうなボロ車だった。
あまりのボロさに本当にコイツが動けるのか?もしかして、さっきのクラクションは空耳だったんじゃないか?そんな事がぐらぐらにたぎった脳よぎる。
「よぉ、ユキ。死にそうな顔してんな」
「…吾代…お前もな」
運転席にいたのは車に負けないくらいボロボロの吾代だった。
「なぁにしてんだ?お使いか?」
車はユキと並走する。そんなことしてるとバッテリーがあがってしまいそうだが、以外と平気らしい。ユキはその走りを見て逆に車らしいスピードは出ないのではないのでは?と、思った。
「乗せてってやろうか?」
「冷房ついてるなら」
「あるけど…冷気と一緒に埃も吐く」
「お断りだ、ばーか」
歩くスピードを速める。
「でも日陰だぜ、車内は。窓開けてれば風も入るし…」
「なんだよ…ナンパか?おとといきやがれ」
ちげーよ馬鹿ッ!吾代は血管を浮かせ、真っ赤な顔で否定してくる。
「テメーがあんまりにも死にそうなツラしてるからだよ!暑いの弱そうだと思ったが…予想以上に弱点みたいだな」
「アイス」
「は?」
のろのろと進む車をひょいと追い越すと、助手席のドアを開ける。
「こんなボロ車に乗ってやるんだから、アイスぐらい奢れよ」
危なっかしい乗り方を…そう思いつつ、素直に甘えないユキになんともいえない、ムズ痒さを感じながらシートベルトを着けるよう促す。
「まったく、わがままに育てられてんな、テメーは」
吾代が苦笑いをするとユキが睨んだ。
「…俺、アイスはダッツしかくわねぇから…」
「はぁ?!テメッ!わざわざ高いの奢らせようとしてんな!!」
今度はユキが笑う。
悪戯っ子のような、出会った頃には想像のつかない、笑いだった。
「そういや…テメェら車ぐらいあるだろ?それに乗っていきゃいいのに」
業績はまぁまぁ、物によっては運び屋紛いの事もする『有限会社 笑顔』に足が無いのはおかしい。
「アニキが使うから…置いてけって」
「バイクなかったか?」
苦い顔をしてペットボトルの水を一口呑む。
「この間…ハデに喧嘩(やらか)した時に色々壊れた。で、廃車にした」
今狙ってるヤツの販売待ち。心底悔しそうに顔を歪めた。
「そういうお前は…なんでこんなボロなんだよ」
少しバカにした声で聞いてくるユキに、腹立たしさを感じながら少し切れた口の端をさする。
「…助手の野郎に意味無く暴力を奮われた」
「お前の上司はそんなヤツばっかりみてぇだな」
以前聞いた前の上司…死んでしまった早乙女國春を思い出す。
彼も、吾代に意味無く暴力をふるい、殴り合い、バカをしあっていた。
しかし、今の上司…ネウロは反撃を許さない。一方的すぎていささかうんざりする。
「お互い、上司は選びてぇもんだな」
「俺はアニキの所に好きでいるんだ。一緒にすんじゃねーよ」
外気の暑さよりよりも暑苦しい“兄弟愛”にうんざりする。
今年の夏も蒸し暑すぎて…
さっさと切り上げてビアガーデンにでも行きたい。そんなささやかな希望を望まない傷をさすりながら吾代は切に祈った。
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